7. 「居住用財産の特例」でいう「居住用」の意義
各種居住用の特例でいう「居住用」とは「生活の本拠」「生活の拠点である」ということです。住民票があるとかの形式的な事実ではなく実質で判断します。次のようなことで総合的に判断されることになります。
| (1)その者および配偶者等の日常生活状況 | |
|---|---|
| 1 | 寝食はその家で行っているか |
| 2 | 配偶者・扶養親族とその家で起居を共にしているか |
| 3 | その家に郵便物が届く状態か |
| 4 | 近所の人とあいさつを交わすことがあるか |
| 5 | マンション居住者の場合管理人が認知しているか |
| 6 | 通勤定期はその家から会社までか |
| 7 | 子供はその家から通学しているか |
| 8 | その家の公共料金は家族の人数にふさわしいぐらいの使用量か |
| 9 | 家族の交通系icカード(Suica等)はその家を起点として使用されているか |
| (2)その家屋への入居目的 | |
|---|---|
| 1 | 長期的居住を前提に入居したか |
| 2 | 他に主たる住居がないか(セカンドハウスではないか) |
| 3 | 日常生活の用に供しない専ら趣味、娯楽または保養のための建物ではないか |
| 4 | 仮住まいで入居したものでないか |
| 5 | 特例を受けるための入居で、住民票だけを移動していないか |
| (3)その家屋の構造および設備の状況 | |
|---|---|
| 1 | 電気・水道・ガスが整備されており、家屋には風呂・トイレ・台所の設備があるか |
| 2 | 事務所・店舗・スタジオ・趣味のための部屋等がないか |
| (4)その他の事情 | |
|---|---|
| 1 | その他生活の拠点であるという合理的理由があるか |
| 2 | 現実的生活はしていないが生活の拠点であると言えるだけのやむ負えない理由があるか |
【居住用財産譲渡 5つの特例】
| ①居住用財産の3,000万円特別控除 | ②所有期間10年超の軽減税率の特例 | ③特定の居住用財産の買換えの特例 | |
|---|---|---|---|
| 法令の期限 | 期限なし | 期限なし | 令和9(2027)年12月31日までの譲渡に限る |
| 法令 | 措法三十五条1項 | 措法三十一条の三 | 措法三十六条の二 |
| 制度の特徴 | 譲渡所得から3,000万円を控除後、残額がある場合に課税 | 3,000万円控除後の譲渡所得に軽減税率(14.21%) | 譲渡価格より買換資産の取得価格が少ないときに課税(20.315%) |
| マイホームの定義 |
|
||
| 譲渡の相手 | 譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、同族会社等特殊関係者でないこと(Q44参照) | ||
| 共有の場合 | 共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人毎に適用 | ||
| 譲渡資産の価額の制限 | なし | 1億円以下(固定資産税等精算金を含む) | |
| 所得制限 | なし | ||
| 所有期間 | なし | 譲渡した年の1月1日で、家屋と土地の所有期間がともに10年超 (取得からお正月を11回迎えたもの) |
譲渡した年の1月1日で、家屋と土地の所有期間がともに10年超 (取得からお正月を11回迎えたもの) |
| 居住期間 | なし | 通算10年以上 | |
| 住宅ローン控除との併用 | 買い替えした資産の住宅ローン控除との重複適用は不可 | ||
| 他の住宅特例との併用 | ①②は併用可、③と併用不可 | ①②と併用不可 | |
| 連年適用の制限 | 3年に1度しか適用できない。前年、前々年において①③④⑤の適用を受けていないこと | 前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと | 前年、前々年において①②の適用を受けていないこと |
| 税率 | 長期:20.315% 短期:39.63% |
譲渡所得6,000万円以下:14.21% 譲渡所得6,000万円超 :20.315% |
買換超過分:20.315% |
| 買換資産 | |||
| 取得期限 | 制約なし | 譲渡年の前年1月1日から譲渡年の12月31日 翌年中に取得する見込みのときは、確定申告書に見積額の明細書を添付することで、譲渡年の翌年の12月31日まで延長が可能 |
|
| 居住用に供する期限 | 買換え資産を取得した日から譲渡年の翌年12月31日 譲渡年の翌年に取得したときは、譲渡年の翌々年12月31日 |
||
| 住宅ローン | ー | ||
| 面積制限 | 登記簿面積50㎡以上かつ土地面積500㎡以下 | ||
| 経過年数制限 | 中古の住宅は新築後25年以内または超過していても新耐震基準に適合していることが証明されたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入しているもの | ||
| 令和6(2024)年以後建築確認する新築は省エネ基準適合のみ対象 | |||
| 災害危険区域等の適用除外 | 令和10年1月1日以後に居住の用に供する新築で災害危険区域等内に所在する家屋には適用しない ただし、建築確認時に敷地の全部が災害危険区域等に含まれていなかった場合は適用可能 |
||
| ④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除 | ⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除 | |
|---|---|---|
| 法令の期限 | 令和9(2027)年12月31日までの譲渡に限る | 令和9(2027)年12月31日までの譲渡に限る |
| 法令 | 措法四十一条の五 | 措法四十一条の五の二 |
| 制度の特徴 | 譲渡損失を他の所得と損益通算、残った損失を3年繰り越してその年の所得から控除する (④の場合には土地面積500㎡を超える部分の損失については繰越控除はできません) |
|
| マイホームの定義 |
|
|
| 譲渡の相手 | 譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、同族会社等特殊関係者でないこと(Q44参照) | |
| 共有の場合 | 共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人毎に適用 | |
| 譲渡資産の価額の制限 | なし | |
| 所得制限 | 繰越控除の年のみ、合計所得金額が3,000万円以下の所得制限あり。 | |
| 所有期間 | 譲渡した年の1月1日で、家屋と土地の所有期間がともに5年超(取得からお正月を6回迎えたもの) | |
| 居住期間 | なし | |
| 住宅ローン控除との併用 | 購入資産に住宅ローン減税重複適用可 | ー |
| 他の住宅特例との併用 | ー | |
| 連年適用の制限 | 前年、前々年において①②③④⑤の居住用の特例の適用を受けていないこと | |
| 税率 | 損益通算・繰越控除により所得税・住民税の軽減または還付 | |
| その他 | ー | 譲渡の契約前日に住宅ローンの残高があること |
| 譲渡損失 | 損益通算できる譲渡損失は譲渡所得の計算上生じた損失 | 損益通算できる譲渡損失は以下のうちいずれか少ない金額
|
| 買換資産 | ||
| 取得期限 | 譲渡の年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得すること | 制約なし |
| 居住用に供する期限 | 買換資産を取得した日から取得した日の属する年の翌年12月31日 | |
| 住宅ローン | 取得をした日の属する年の12月31日または特例の適用を受けようとする年の12月31日において、償還期間10年以上の住宅ローン残高があること | |
| 面積制限 | 登記簿面積50㎡以上 | |
| 経過年数制限 | なし | |
| 災害危険区域等の適用除外 | 令和10年1月1日以後に居住の用に供する新築で災害危険区域等内に所在する家屋には適用しない ただし、建築確認時に敷地の全部が災害危険区域等に含まれていなかった場合は適用可能 |
|
【その他の譲渡所得の特例】
| ⑥空き家の3,000(2,000万円)万円特別控除 | ⑦土地等の平成21(2009)年・22(2010)年取得の1,000万円特別控除 | |
|---|---|---|
| 法令の制限 | 令和9(2027)年12月31日までの譲渡に限る | ー |
| 法令 | 措法三十五条3項 | 措法三十五条の二 |
| 制度の特徴 | 相続人が空き家を譲渡した場合には、譲渡所得の金額から特別控除して残額がある場合に課税 | 平成21(2009)年または平成22(2010)年に取得した土地等を譲渡した場合には、譲渡所得の金額から特別控除を控除して残額がある場合に課税 |
| 控除額 | 財産を取得した相続人の人数 2人以下→一人あたり3,000万円 3人以下→一人あたり2,000万円 | 1,000万円 |
| 適用の要件 |
|
|
| 「特定事由」 | ||
|
||
| 譲渡の相手 | 譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、同族会社等特殊関係者(Q44参照)でないこと | なし |
| 譲渡資産の価額の制限 | 譲渡対価の額の合計額が1億円以下(固定資産税等精算金を含む)であること(店舗併用住宅の場合、店舗併用住宅全体で1億円) | なし |
| 共有の場合 |
|
共有の土地等を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人毎に適用 |
| 所得の制限 | なし | なし |
| 所有期間 | なし | 譲渡のあった年の1月1日で所有期間が5年を超える |
| 居住期間 | なし | なし |
| 住宅ローン控除との併用 | 買換えした資産は住宅ローン減税との重複適用が可能 | 買換えした資産は住宅ローン減税との重複適用が可能 |
| 他の住宅特例との併用 |
|
|
| 連年適用の制限 | ー | 複数の土地を有し、その土地が平成21(2009)年・22 (2010)年取得の土地である場合、今年ひとつの土地に1,000万円控除の適用し、翌年別な土地に1,000万円控除の適用が可能 |
| 税率 | 長期:20.315% 短期:39.63% | 長期:20.315% |
| その他 |
|
マンションであっても敷地権部分については、適用は可能 |
| ⑧低未利用地譲渡の100万円特別控除の特例 | ⑨優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例 | ⑩収用の5,000万円特別控除と買換え特例 | |
|---|---|---|---|
| 法令の期限 | 令和7(2025)年12月31日までの譲渡に限る | 令和7(2025)年12月31日まで延長する。 | ー |
| 法令 | 措法三十五条の三 | 措法三十一の二 | 措法三十三条・三十三条の四 |
| 制度の特徴 | 個人が都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円(一定の場合は800万円(固定資産税等精算金含む))以下で売却した場合、その年の低未利用土地等の譲渡所得から100万円を控除 | 個人が優良住宅地の造成のためまたは確定優良住宅地等予定地のために土地等を譲渡した場合、譲渡所得のうち2,000万円までは税率を軽減 | 収用等により土地建物を譲渡した場合(代替資産を取得した場合を含む) |
| 適用の要件 |
上記に加えて低未利用土地等が下記に掲げる区域内に存在するときは譲渡対価要件を800万円(固定資産税等精算金含む)以下に引き上げる。 |
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【収用の買換えの要件】 ・収用等があった年 ・収用等があった年の前年(収用等により譲渡することが明らかになった期間に限る) ・収用等があった年の翌年1月1日から収用等があった日以後2年を経過した日までの期間 【5,000万円特別控除の要件】 |
| 譲渡の相手 | 譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、同族会社等特殊関係者(Q44参照)でないこと | なし | ー |
| 所得の制限 | なし | なし | なし |
| 所有期間 | 譲渡した年の1月1日で5年超(取得からお正月を6回迎えたもの) | 譲渡した年の1月1日で5年超(取得からお正月を6回迎えたもの) | なし |
| 居住期間 | なし | なし | なし |
| 他の特例との併用 |
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下記に掲げる特例を適用した場合は当規定は適用不可
その他、措法に定める一定の特例 |
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| 連年適用の制限 | 特例を適用しようとする土地から前年または前々年に分筆された土地等について、前年または前々年にこの特例を適用していないこと | なし | なし |
| 税率 | 長期:20.315% | 譲渡所得2,000万円以下:14.21% 譲渡所得2,000万円超 :20.315% |
短期:39.63% 長期:20.315% |
| その他 | 譲渡する土地が低未利用土地等であることについて、所在地の市区町村が発行する確認書を申告書に添付すること 確認書は下記の書類を揃えて市区町村に申請する ①売買契約書の写し ②次のいずれか
④当該土地の全部事項証明書 ※市区町村によって異なる場合があります。 |
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| 災害危険区域等の適用除外 | ー | 優良住宅地等の造成に該当する譲渡のうち一定の譲渡については、その譲渡が令和10年1月1日以後かつその譲渡をした時においてその土地等が地すべり防止区域・急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害特別警戒区域・浸水被害防止区域にあるときは適用から除外する | ー |